7.生き方 その3(身辺整理)
      
  他人に関係する項目は、少しけじめをつけられたように思う。ところが自分自身に関係      
 することは何もできていない。身辺整理ができていないのだ。まずは書斎の整理である。      
       
   ① 遺言書     
    身辺整理で筆頭に上がるのは遺言書であろう。ところが私は一切、思いつかず    
   何も書かないままであった。これには次の理由があると思う。私は4年ほど前、    
   2番目の著書として、題名:家計簿の独り言を作成している。本内容の最終章に    
   エンディングノート的な項目を記述している。その内容に変更はない。当該本は    
   4部作成して、家内、長男、次男、長女に配布している。この安心感から遺言書を    
   作成しなかったと今は思う。    
       
   ② 謡本とカセットテープ     
    私は観世流謡曲の謡本を約150冊、謡曲カセットテープを約80本持っている。    
   複数の素謡同好会に参加しており、該当月の練習本や定例謡会用本を150冊から    
   予習のため選ばなければならない。私はプロが素謡したもので、ラジオ放送された    
   曲をカッセトテープに録音している。録音は主に平成2~3年にしている。    
   私の予習はカセットテープの音声をまねすることによる。さらに謡本に記述されて    
   いる歌い方の規則に従わず、プロが独自に彩をつけて歌う箇所がある。その箇所は    
   師匠直伝と呼ばれる点で、そのように彩をつけられる人が、上達者と評価される。    
    同好会の練習は4回ほどで1演目を終了する。その間机上には、謡本が2~3冊、    
   カセットテープが数本散在している。終了すれば、もとあったところに収納すれば    
   よいものを、そのままにしている。その状態に次の練習曲の謡本とカセットテープ    
   加わってくる。まるで机が書棚になっている。そこで謡本とカセットテープのため    
   小さな書棚を購入して整理した。    
       
   ③ 骨董的な音楽部材     
    私は音楽を録音する部材として、カセットテープ、MD、CDーRを利用している。    
   近頃カセットテープは骨董品的な部材である。特にAB両面あわせて120分ものが    
   店頭にあれば即座に購入する。MD媒体も店頭で見なくなった。当然、そのリーダー    
   ライターも店頭にない。私はなぜ骨董的な音楽部材を利用するのか? 第一には    
   謡曲及びハーモニカ愛好者が高齢者である。この年齢層の方々は、ICレコーダーや    
   USBメモリーを十分に使いこなせない。第二にはハーモニカ演奏会場の音響設備に    
   よる。入力装置としては、カセットテープ、MD、CDのプレイヤーが主流である。    
       
   ④ カラオケCD     
    次は自作のカラオケCDである。私はハーモニカ伴奏用カラオケCDを正副作り、    
   ビニール袋に入れて単品管理している。このCDは机上、譜面台、CDプレイヤー側    
   などに散在している。全部で40~50品になっている。これらのCDを分類して    
   収納、保管しなければ、書斎が非常に見苦しい。カラオケの曲名は1個でも、早い    
   テンポのものと、遅いテンポのものを作成するからである。早い方が標準であるが    
   その速さでハーモニカを演奏できない。そこで改めて遅いテンポに変換してCDを    
   作成するのである。このために品数は増えたのである。さあ分類、収納の作業だ。    
    収納ホルダーを6冊購入してきた。分類はソロ演奏、アンサンブル演奏、複音    
   ハーモニカ、アルトハーモニカ用に区別した。これは保管用である。後は練習の    
   ために持ち運ぶ、ZZZフレンズ京都、アルトYYY用にした。本棚は少し様になった。
    
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   ⑤ 机引出しの小物     
    机引出し、一番煩わしいもの(小物)になった。分類する種別が多いのである。    
   まずは筆記具だ。鉛筆、シャープペン、ボールペン、マーカー、消しゴム、はさみ    
   カッター、ホッチキス、修正テープ、セロテープ列挙したらきりがない。これらの    
   物が1つといわず複数個あり、しかも元あった保管場所に戻らず、いたるところに    
   散在しているのである。保管場所では、短い鉛筆、細かい消しゴム、色のうすく    
   なったマーカーなどが、後生大事に保持されている。捨てればもっとスッキリする。    
    次は紙系である。普通切手、記念切手、お年玉切手、葉書、往復葉書、通達葉書、    
   封書、名刺、クーポンチラシ、領収書、付箋紙が引き出し内にごちゃごちゃ入って    
   いる。通達葉書、封書の要件を調べ必要な物は保管用ファイルに納め、不要な物は    
   シュレーターで裁断して廃棄する。領収書はいつも廃棄していたが、今回は医療    
   関係が多いので、確定申告用に整理保管した。    
    次はカード類である。常用するものは携帯して、残りのものは束ねることにした。    
   携帯するものは自動車免許書、JAFカード、健康保険書、病院カード(2病院)、    
   図書館カード、宅急便カードにした。いずれもよく使うものである。これ以外は、    
   使用する際に、探し出しだして利用することにしている。    
       
   ⑥ 写真     
    私は同好会の記念写真などをよくいただく。その都度、アルバム帳に張ればよい    
   のに。一度見たらビニール袋に戻して本棚などに置きっぱなし。これでは散らかる    
   ことまちがいなし。散在している写真をひとつのトレーへ納めた。これらの写真が    
   アルバム帳へ張られるのは、いつになることやら。とりあえずは、かたづけた。    
       
   ⑦ 恩師の写真集     
    今回、写真については1つの企画をしていた。それはハーモニカの恩師(I先生)    
   の想い出アルバムを作成しようと考えた。I先生教室の合同発表会をしていたことは    
   前章に書いた通りである。解散した教室があった。元の生徒さんも集めて10回目    
   合同発表会、初回同窓会発表会をしたいと、先生へ提案して了解を得た。さらに、    
   10回記念に写真アルバムを作成したいと、先生に草案を見せ、これも了解を得た。    
   写真集の構成は1~9回目までの合同集合写真とその時のプログラムである。それで    
   写真をかき集め利用したプログラムも探し出した。10回目は4月23日に行うので    
   その際に集合写真を撮る。演奏会後には懇親会をするので、10回目の集合写真と    
   9回目までの想い出アルバムを配布する計画である。    
    私は合同発表会では進行役をするので、プログラムに進捗時刻を書き加えていた。    
   鉛筆で加筆していたので、消しゴムで筆記をきれいに消し取った。これで素材の    
   写真とプログラムがそろった。ところが写真とプログラムのサイズがバラバラで    
   統一できていない。集合写真をA4サイズへ拡大、プログラムをB5サイズからA4    
   サイズへ拡大した。これで資料を全てA4サイズに統一できた。後は製本である。    
    原稿は写真が9枚、プログラムが18枚、表紙や目次、あとがきを加えて、30    
   枚である。これなら製本はいらない。30ポケットを持つビニールファイルで対処    
   できる。写真カラー印刷が9枚で450円/冊、プログラム18枚で90円/冊    
   ファイル代100円/冊で、作成コストは640円/冊である。この方式で40冊    
   作成しても経費は約26000円である。これなら発表会の運営費から捻出できる。    
   ところが私に病気・手術がふってきた。急いで想い出集の原本1冊を完成しなけれ    
   ばならない。年末にコンビニの複写機に向かい、一生懸命に資料を作成した。その    
   かいあって、先生用のマスター本(原本)を完成できた。後は何とでもなる。
    
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   ⑧ 年末年始の準備     
    これからが毎年の年末行事である。その大行事のひとつが大掃除である。    
   まずは外回りの草取り、屋根ひさしのクモの巣払い、窓ガラスの清掃などである。    
   一度に全部できるものではない。5~6日に分けて、ひとつ、ひとつ終わらせた。    
   次は自動車の冬支度、スタッドレスタイヤを整備店へ運びタイヤ交換してもらった。    
   タイヤを移動させるなどの力仕事を、手術前の身体でよくできるのもだと思われる    
   かも知れない。病気発見後も実に病人らしくない病人である。通常の生活を極普通    
   にしている。ものいわぬ臓器の病気のおそろしさかも知れない。    
    次は内回りである。部屋のエアコンフィルター清掃、空気清浄機フィルター清掃、    
   居間にコタツの設置、ハロゲンヒーターを配備して、暖房器具の配置ができた。    
   我家はオール電化にしており燃料系の暖房器具を持っていない。それでも寒ければ    
   コタツにもぐりこむ以外にない。和室の障子張替えも済ませた。    
    年末に帰省する次男夫婦孫達のために、寝具類、餅つき機を準備した。孫達が    
   到着したら、すぐに餅つきをしよう。もちを食べて、双六遊びをするだけだ。    
       
   ⑨ 入院の準備     
    ところが今回はもうひとつ大きな仕事があった。年明け早々に入院して手術する。    
   入院のために小物手持ち品、前開き衣類、洗面器具等を購入して、いつでも入院    
   できるように準備しておかなければならない。これらの指定持ち込み品は入院の    
   手引書に一覧表としてまとめてあった。家内は年末年始料理の総菜を購入する傍ら、    
   私用に前開き衣類などを買い揃えてくれた。家内にとっては例年にない、超多忙の    
   年末となったことであろう。家内に心から感謝である。    
    私はこの期間中、高額医療用保険書の申請、私的な医療保険の申請書の入手、    
   入院、手術同意書の署名捺印などを行った。    
    手術は危険性を伴っている。何が起こるかわからない。手術で絶命することさえ    
   ある。日頃、整理しない書斎、机上、机の引き出し整理したのである。全てが私の    
   小物である。絶命した時は、家内にはわからないこれらの小物を、家内が整理する    
   のである。家内のため小奇麗にできた。もうブツブツ言われないだろう。       
       
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